長崎と卓袱料理

卓袱料理のはじまり

その昔、隠元和尚などによってもたらされた普茶料理(精進料理の一種)の配膳形式に、長崎町民の間で作り出された和・華・蘭のミックスした献立がそのまま盛りつけられ、長崎独特の料理を生み出しました。
それが卓袱料理の始まりだとされています。

郷土料理・・・卓袱

新しいもの好きの長崎人気質に加え、当時においても食材が豊かな長崎では、中国料理と日本料理は互いに影響しあい、一つの器に盛られた料理をそれぞれ自分の箸で取って食べるようになりました。

一卓一卓に大皿で数人分の料理を盛る卓袱形式(朱塗りの円形テーブルを卓袱(しっぽく)と呼んでいます)は、身分の上下に関わらず円卓を囲むことができます。しかも簡単で合理的なため、町人たちが多い長崎で大いにうけ、特に宴席で好まれるようになりました。

それから、卓袱料理は時代とともにさらに洗練され、今でも長崎における郷土料理の代名詞として愛され親しまれています。

文化の窓口として栄えてきた長崎の歴史をひもときながら、
長崎卓袱浜勝ならではの卓袱料理をじっくりご賞味下さい。

料理の楽しみ方

まず「卓袱」とは中国風朱塗りの円形テーブルのことで、今もテーブルに「卓袱」を使用するのが主流です。料理は、卓袱料理はすべて小菜(小さいお皿のこと)と、大鉢、中鉢など様々な大小の皿に人数分を盛りつけられています。

まず主人役の「お鰭をどうぞ」という一言から始まる卓袱料理。この言葉と椀には「お客さま一人に魚一尾を使いましたよ」というおもてなしの意味がこめられています。

お鰭(おひれ)

卓袱料理の最初にお出しする椀です。 はんぺん、四方鯛、しいたけ、青身野菜、紅白もちなど山・海・野の幸が入っています。
乾杯より先にいただき、まず宴の雰囲気をやわらげます。

お鰭(おひれ)

ばら煮(十六寸豆)

小菜(小さい皿の意味)のひとつで、冷めても味の変わらないものが出されます。 十六寸豆は、隠元和尚が興福寺に初めてフジの豆を植えたという言い伝えに由来し、"豆を十個並べて六寸"からきた名前です。

ばら煮(十六寸豆)

三品盛り(前菜)

海のもの、里のもの、山のものを盛り合わせた口取りです。 昔、長崎だけで手に入った砂糖をふんだんに使って、もてなしの気持ちを表した名残でしょう。 村雨二色卵、ワインかんてん、からすみ、サザエなど、季節によって彩りよくお出しします。

三品盛り(前菜)

酢の物(湯引)

新鮮な魚を熱湯にくぐらせる程度の、持ち味を生かした料理です。 鱶(ぶか)、鱧(はも)あらなどをご賞味ください。

酢の物(湯引)

長崎天麩羅(ながさきてんぷら)

新鮮な白身魚(甘鯛など)のやわらかい切身に味付けをし、黄卵を使った衣で揚げる長崎独特の天麩羅です。 軽い口当たりと、風味をお楽しみください。 天つゆなしで、そのままお召し上がりいただきます。

長崎天麩羅(ながさきてんぷら)

あじさい揚げ

芝海老をクリームソースでまろやかな味に仕上げ、角パンを衣にし、あじさいの花の型にしました。

あじさい揚げ

お刺身

長崎の近海で取りたての魚介類など、活きのいいお刺身です。

お刺身

石焼き

対馬の伝統料理で、熱く焼いた石の上でとれたての魚や野菜をジュウジュウと焼きます。 焼き石は対馬産の梅花石、自然と共に生きてきた人々の工夫と智恵が、今もおいしさと温かさを伝えます。

石焼き

豚の角煮

中鉢(中くらいの皿の意味)のひとつで、食事の中程に温かいものが出されます。 豚の三枚身をたっぷりの地酒と特製のだしで、コトコトとじっくり煮上げ、べっこう色に仕上げました。

豚の角煮

大鉢(そば蒸し)

茶そばを甘鯛の身で巻き、蒸しあげます。 薬味は小ねぎともみじおろし。 あっさりとおいしいスープに茶そばの風味をお楽しみください。

大鉢(そば蒸し)

大鉢(盛り合わせ)

海の幸、山の幸を季節ごとの組み合わせ。 (あいがも、海老、ほたて貝のそば団子、南瓜、かぶ、生ふ、木の芽)

大鉢(盛り合わせ)